スマートフォンの発熱とバッテリーの問題

iPhone/スマートフォンの発熱について

2018年02月06日 17時52分

 スマートフォンを使っていて、いつの間にか熱を持つことがあります。先ほど見たように、リチウムイオン電池は、内部の化学反応で充電したり放電したりします。スマートフォンがいったん熱を持ちますと、その熱がバッテリーを加熱し、化学反応を促進し、さらに熱を発する……という感じで、「正のフィードバック」という連鎖反応を起こすことがあります。この連鎖反応がどんどん続いていくと、「熱の暴走」とでもいうべき状態になり、最悪の場合、発火します。
 ですから、「発熱」は要注意です。

■発熱の原因・理由
 スマートフォンが熱を持つようになる原因は、大きく3つ考えられます。
 
①バッテリー
 「リチウムイオン電池の短所」で触れたように、充電・放電しているバッテリーの中では、激しい酸化・還元反応が起きています。そうした化学反応そのものから熱は発生します。ですから、充電時も放電時も、基本的に熱は出しているのです。
 問題は「急速すぎる充電」と「急速すぎる放電」です。「急速すぎる充電」は、チャージャーとスマートフォン自身がコントロールするので、トラブルに結びつくことはあまりありません。しかし、動画やアクションゲームなど、「重い」アプリを使うなどしてCPUに大きな負荷がかかり、大量の電力を供給してやらなければならないとき、バッテリーは「急速すぎる放電」をしてしまいます。そうなると、ふつう以上に高い熱を発します。
 さらによくないのは、「負荷の高いアプリを使用しながら充電する」という使い方です。充電ケーブルで電源につながっているとき、スマートフォンは、満充電状態でバッテリーに電力を送る必要がないならば外部からの電力を自分のために使おうとします。しかし、満充電ではないときは、バッテリーに電力を与えながら、自分がアプリを実行するためにも電力を使います。軽いアプリならいいのですが、重いアプリだと外部からの電力だけでは足りず、バッテリーからも電力をもらおうとします。すると、バッテリーは「充電と放電を同時に要求される」という矛盾した状況に置かれることになります。
 この状況はバッテリーにたいへん大きな負担をかけ、劣化させます。そして酸化・還元反応も激しく起こり、高熱を発します。
 
②CPU
 パソコンのユーザーならば、処理が重い状態のパソコンでCPUが発熱することはよく知っているでしょう。「本質的にコンピュータそのもの」であるスマートフォンも同じことで、重いアプリを実行しているとCPUが大電力によって加熱します。
 
③周辺の環境
 スマートフォン自身ではなく、外部環境から熱を持たされることもあります。直射日光の当たる場所、ビーチの熱い砂の上、真夏の屋外など、暑いところではスマートフォンにも熱が加わります。この熱は、スマートフォン自身が監視できる内部の通電状態とは関係ないので、スマートフォンがコントロールすることができず、場合によってはどんどん熱がこもってしまうこともあります。
 また、防水性の高いスマートフォンは気密性が高いため、空気の出し入れで熱を放出することができず、熱を持ちやすくなります。防水・耐衝撃ケースに入れている場合も同様です。
 
発熱すると何がいけない?
 発熱の何が問題か。もちろん最悪なのは「発火」です。「破裂・爆発」に近い燃え方をしますから恐ろしい話です。
 そこまで行かなくとも、
・熱暴走
熱のせいでCPUが一瞬だけ誤動作し、意味のない無限ループを実行しつづけ、ユーザーからみると「スマートフォンが固まってしまった」状態になる。
・バッテリーの劣化
 高温にさらされると、バッテリーの劣化が早まります。
・故障
 樹脂製部品の変形、カメラや液晶素子の誤動作など、故障の原因になりえます。
 
iPhone/スマートフォンはどうやって冷ます?
 スマートフォンが過熱気味になったときは、そのままの使い方をつづけていてはいけません。「7.2.1」で見たような原因を取りのぞく方向で対処してください。
 
①周辺環境が高温
 スマートフォンを日陰に置く、涼しい場所に移動する、10分くらい電源をオフにしてみる……などといった対応をしましょう。
 ケースをはずすのも効果的かもしれません。
 
②負荷の大きいアプリ
 アプリが重いためにCPUとバッテリーに負担がかかっているならば、重いアプリを終了させましょう。バックグラウンドで立ち上がっているアプリもあるかもしれません。ホームボタンを軽く2度押しすると、現在立ち上がっているアプリが表示されますので、不必要なものはそこで終了させます。
 
③充電を止める
 まず、「重いアプリを使いながら充電する」はやめてください。バッテリーのためにいちばんよくないのです。アプリを実行中でなくても、②で言及したような「バックグラウンドで立ち上がっているアプリ」があるかもしれないので、充電するとしたらそれらを終了させてからにしましょう。
 
④電源を切る

 熱が出たら休むのが一番。人間といっしょです。電源オフにするのがもっとも効果的な対処です。